【決算発表】総合スーパーのイオン【2022年2月期】
イオンの決算発表がありました。
行動制限によって翻弄される小売業ですが、
世界も含めて業績は回復しているのでしょうか?
日本を代表する総合スーパーのイオンから実態を見てみましょう。
※実際に投資をする際は、自己責任・自己判断でお願いします。
記事の内容
・会社概要
・決算の内容
・各事業の状況
・今後の予想
それではイオンの決算を見ていきましょう。
会社概要 イオンってどんな会社?
イオンは約300社にものぼる会社から構成される小売の企業グループです。
グループで運営する店舗は全世界で2万店近くにもなります。
イオンの創業は江戸時代までさかのぼります。
1758年、現在の三重県四日市市で篠原屋として創業されました。
その後、様々な会社との統合やM&Aを繰り返しています。
1974年にはジャスコ(株)として株式上場し、
現在は東証プライム市場に所属しています。
イオンの事業は誰もが知る総合スーパーを中心に8事業から構成されます。
ウエルシアなどドラッグストアを運営するヘルス&ウェルネス事業、
設備の維持を行うイオンディライトや様々な専門店から構成される
サービス・専門店事業、
イオンビッグやマックスバリューなどのスーパーを運営する
DS事業とSM事業、海外で事業を行う国際事業、
地方のイオン各社から構成されるGMS事業、
そして、イオンカードや保険を扱う総合金融事業です。
これらの多岐にわたる事業により売上は8兆円、
従業員も全世界で57万人という凄まじいまでの規模の大企業となっています。
決算の内容
今期の業績は、売上高8兆7159億円(前年比+1.3%)、
営業利益1743億円(前年+237億円)、純利益65億円(前年+775億円)となりました。
営業収益は過去最高を記録しており、
これにより純利益の黒字回復も達成しました。
各事業の状況
それでは各事業セグメントの状況を見ていきましょう。
〇ヘルス&ウェルネス
〇ディベロッパー
〇サービス・専門店
〇ディスカウント(DS)とスーパーマーケット(SM)
〇国際
〇総合スーパー(GMS)
〇総合金融
ヘルス&ウェルネス事業の状況
ヘルス&ウェルネス事業は売上高の12%を占める事業です。
今期の売上高は1兆310億円(前年比+7.8%)、営業利益は419億円(前年+3億円)でした。
調剤薬局の併設と新規出店が計画を越えており、
新たに2社を子会社化しています。
今後は中核企業であるウエルシアがドラッグストア業界初の
売上1兆円を達成することを目標としています。
このために、M&Aを含む積極的な投資を行っていくようです。
ディベロッパー事業の状況
ディベロッパー事業は売上高の4%を占める事業です。
今期の売上高は3667億円(前年比+12.1%)、営業利益は388億円(前年+31億円)でした。
イオングループの中では高い営業利益率を誇る事業になっています。
今期は中国の既存モール店が伸長したことによりこのような業績になりました。
今後は店舗内にオフィスももつ商業オフィス複合拠点を目指していくということです。
その最初の例としてイオンモール Nagoya Noritake Gardenも紹介されています。
サービス・専門店事業の状況
サービス・専門店事業は売上高の8%を占める事業です。
今期の売上高は7034億円(前年比+9.6%)、営業利益は-27億円(前年+149億円)でした。
前年の大規模な休業や時短営業からは改善したものの、
黒字への回復には届きませんでした。
DS事業とSM事業の状況
DS事業とSM事業の売上高はそれぞれ8%、29%となっています。
今期のDS事業は売上高3881億円(前年比-2.3%)、営業利益は27億円(前年-17億円)、
SM事業は売上高2兆5206億円(前年比-1.1%)、営業利益は305億円(前年-111億円)でした。
国際事業の状況
国際事業の売上高は全体の5%を占めています。
今期の売上高は4122億円(前年比-0.5%)、営業利益は55億円(前年-4億円)でした。
中国において行動制限が続いていますが、
これによって前年比マイナスとなりました。
総合スーパー(GMS)事業の状況
GMS事業の売上高は全体の38%を占めます。
今期の売上高は3兆3004億円(前年比-1.8%)、営業利益は-23億円(前年+87億円)でした。
赤字にはなってしまっていますが、
食料品の伸長、衣料品の粗利改善、経費の大幅削減によって
前年比ではプラスになりました。
中国の事業においてデジタル化によってネット売上比率が11%、在庫欠品の改善、
キャッシュレス率94%という成功を収めています。
今後はこの成功しているデジタル化を日本でも展開していくことで
事業の状況を改善していく予定ということです。
総合金融事業の状況
国際事業の売上高は5%でした。
今期の売上高は4725億円(前年比-3.1%)、営業利益は617億円(前年+191億円)でした。
WAON POINTの会員増と稼働率UPによって利益が大幅伸長しました。
今後はWAON POINTを顧客との接点拡大に利用し、
それによって得られたデータを活用することで
値下げと生鮮食品などの廃棄を減らし、
利益率の改善を図っていくということです。
今後の予想
2023年2月期の会社予想業績は、売上高9兆円(今期+5.6%)、
営業利益2100~2200億円(今期+356億円~)、
純利益250~350億円(今期+184億円~)です。
全事業において増益を果たし、
特に赤字のGMS事業とサービス・専門店事業は黒字化を目指します。
また、この予想はサプライチェーンの不確実性も含む数値となっています。
このためにグループ全体の取り組みとして、
ベトナムでの新規出店、次世代ネットスーパー、完全セルフレジ化、
物流センターへの投資を行います。
以上となります。
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