【決算発表】産業用ロボットの安川電機【2022年2月期】
安川電機の決算発表がありました。
人手不足により活発な投資がされている産業用ロボットですが、
本当に役立って使われているのでしょうか?
4強メーカーの1つである安川電機の決算から実態を見てみましょう。
※実際に投資をする際は、自己責任・自己判断でお願いします。
記事の内容
・会社概要
・決算の内容
・各事業の状況
・今後の予想
それでは安川電機の決算を見ていきましょう。
会社概要 安川電機ってどんな会社?
安川電機は日本が強みをもつ産業用ロボットメーカーのなかでも
世界4強の1社として知られている会社です。
元々は1915年に創業、
1949年に上場、現在は東証プライムに上場する会社です。
安川電機の主要な事業は3つあります。
名前の通り産業用ロボットなどを扱うのロボット事業、
最後はプラント設備などを扱うシステムエンジニアリング事業です。
これらの事業でおよそ4000億円の売上をほこり、
従業員も14000人にのぼる大企業となっています。
決算の内容
今期の業績は、売上高4791億円(前年比+22.9%)、
営業利益529億円(前年比約2倍)、純利益388億円(前年比約2倍)でした。
製造業全体で活発な設備投資が行われており、
半導体やEVを中心とする自動車、5Gや再生可能エネルギーなどの分野で
特に高い需要が継続しているようです。
最近よく報道もされている資源の高騰や半導体不足の影響は受けていますが、
売上高、利益ともに大きく増加しコロナ前の水準まで回復を遂げています。
各事業の状況
それでは各事業セグメントの状況を見ていきましょう。
・モーションコントロール
・ロボット
・システムエンジニアリング
モーションコントロール事業の状況
モーションコントロール事業は売上高の47%を占める事業です。
今期の売上高は2273億円(前年比+29.1%)、営業利益は382億円(前年比+55.3%)でした。
世界的に設備投資が積極的になっていることから好調な販売となっています。
物価高騰や半導体不足の影響は受けたものの、
売上の増加と新製品への切り替えによって増益となりました。
ロボット事業の状況
ロボット事業は売上高の37%を占める事業です。
今期の売上高は1787億円(前年比+28.1%)、営業利益は172億円(前年比約2.5倍)でした。
主要な市場である自動車産業においてEV化が加速しており、
それにともなう設備投資が高い水準で継続しました。
また、他の産業においても人手不足に対応するため、
ロボット導入も広がっているということです。
システムエンジニアリング事業の状況
システムエンジニアリング事業は売上高の11%を占める主力事業です。
今期の売上高は523億円(前年比+3.0%)、営業利益は21億円(黒字化)でした。
アジアにおける港湾のクレーン向けや、リチウムイオン電池の生産設備向け、
国内の鉄鋼プラント向けは低調な推移でした。
今後の予想
2023年2月期の会社予想業績は、売上高5250億円(今期+9.6%)、
営業利益720億円(今期+36.2%)です。
事業別では、ロボット事業が売上高+14.2%、営業利益+53.1%となっており
この大きな成長によって全体の営業利益をけん引する形となっています。
今期末時点でロボットの受注が大幅に増加しており、
この活発な設備投資は来期も続くという見込みになっています。
以上となります。
来週の決算予定(4/11~)
来週はホームセンター業界やユニクロで有名なファーストリテイリングが決算を迎えます。
主な企業の決算発表日、目標株価、コンセンサス売上予想、コンセンサス当期利益予想は以下の通りです。
4/11
コーナン商事(7516) 4600円、4430億円、165億円
ローソン(2651) 4940円、6997億円、185億円
コスモス薬品(3349) 17150円、7607億円、242億円
4/12
ビックカメラ(3048) 1073円、8124億円、99億円
東宝(9602) 6400円、2318億円、277億円
DCMホールディングス(3050) 1800円、4530億円、183億円
4/14
良品計画(7453) 2358円、4856億円、297億円
ファーストリテイリング(9983) 74700円、2兆2552億円、1918億円
【決算発表2022年2月期】ウエルシア、スギ、薬王堂【ドラッグストア3社】
ドラッグストア業界3社の決算発表がありました。
好調が続く一方、激しい競争に見舞われているドラッグストアですが、
業界の各社はどのような状況にあるのでしょうか?
※実際に投資をする際は、自己責任・自己判断でお願いします。
記事の内容
・会社概要
・決算の内容
・各社の状況
・今後の予想
それでは各社の決算を見ていきましょう。
会社概要 各社の違いは?
ウエルシア
ウエルシアホールディングスは2008年、グローウェルホールディングスとして
設立され、2012年に東証一部上場、2014年にイオンの連結子会社化、
現在はプライム市場に上場されています。
設立以来、多数の合併やM&Aを繰り返し、
2300店舗を展開するまでに成長してきたドラッグストア業界1位の会社です。
スギホールディングス
スギホールディングスは愛知県を中心にスギ薬局などを展開する
ドラッグストア業界5位の会社です。
1976年にスギ薬局として愛知県で創業、
2000年に上場、現在は東証プライムに上場する会社です。
愛知県を中心に、関東、中部、近畿で合計1,483店舗(2022年2月末現在)を
展開しています。
薬王堂
薬王堂ホールディングスは東北を地盤に展開する
売上高1000億円ていどの比較的ローカルな会社です。
1978年に都南プラザドラッグとして岩手県で創業、
2005年に上場、現在は東証プライムに上場する会社です。
東北6県で359店舗(2022年2月末現在)を展開しています。
決算の内容
ウエルシアホールディングス
今期の業績は、売上高1兆259億円(前年比+8%)、
営業利益430億円(前年比+0.1%)、純利益265億円(前年比-5.5%)でした。
スギホールディングス
今期の業績は、売上高6255億円(前年比+3.8%)、
営業利益3214億円(前年比-5.6%)、純利益194億円(前年比-8.2%)でした。
薬王堂ホールディングス
今期の業績は、売上高1203億円(前年比+8.8%)、
営業利益40億円(前年比-18.8%)、純利益30億円(前年比-9.9%)でした。
各社の状況
各社とも同じドラッグストア事業ですが、
調剤薬局の併設率や力を入れる事業の違いにより
わずかながら違いがあったようです。
共通するのは、緊急事態宣言や蔓延防止措置などによって
手洗い用品やマスクの売れ行きが好調だったことです。
また、家で過ごす時間が増えたことから食料品なども好調で、
化粧品は逆にコロナ前の水準には回復していないとのことです。
この3社で唯一営業利益が増益だったウエルシアの決算短信では
はっきりと病院の受診抑制が緩和し、調剤が回復してきたと書かれています。
今後の予想
各社の来期の予想は以下のようになっています。
ウエルシアホールディングス
売上高1兆1100億円(今期+8%)、営業利益470億円(今期+8%)、純利益284億円(今期+7%)
売上高6750億円(今期+8%)、営業利益300億円(今期-7%)、純利益180億円(今期-7%)
薬王堂ホールディングス
売上高1257億円(今期+4%)、営業利益41億円(今期+3%)、純利益31億円(今期+3%)
各社とも感染拡大や地政学的不安、エネルギーや原材料の高騰により
売上高は増加するもののウエルシア以外は利益の成長は大きくないと
予想しています。
以上となります。
直近で同業のクスリのアオキのQ3決算もありましたので、
よろしければこちらもご覧ください。
【決算発表2022年2月期】しまむら【低価格ファッション】
しまむらの決算発表がありました。
かつてはユニクロのライバルだった低価格ファッションの会社ですが、
現在はどのような環境にあるのでしょうか?
※実際に投資をする際は、自己責任・自己判断でお願いします。
記事の内容
・会社概要
・決算の内容
・各事業の状況
・今後の予想
それではしまむらの決算を見ていきましょう。
会社概要 しまむらってどんな会社?
低価格ファッションの店舗を2000店以上展開する会社です。
元々は1953年に島村呉服店として埼玉県で創業、
1988年に東証二部上場、現在は東証プライムに上場する会社です。
総合衣料品のしまむら以外に
ヤングカジュアルのアベイル、ベビー・子供用品のバースデイ、雑貨のシャンブル、
靴のディバロなどファッションを中心に事業を拡大しています。
かつてはユニクロと双璧をなすファストファッションの雄で、
現在は売上6000億円近い売上を誇る会社です。
決算の内容
今期の業績は、売上高5836億円(前年比+7.6%)、
営業利益494億円(前年比+30%)、純利益354億円(前年比+35.4%)でした。
今年度は緊急事態宣言や蔓延防止措置によって外出が減少し、
店舗での販売は低調だったとのことですが、
しまむらは新型コロナによる業績の落ち込みが大きかったため、
その分大きく回復し、今期はコロナ前を越える水準まで復活しました。
各事業の状況
しまむらの事業セグメントは以下のようになっています。
〇主力3事業
・しまむら
・アベイル
・バースデイ
〇その他
・シャンブル
・ディバロ
・思夢楽(台湾事業)
それでは各事業の状況を見ていきましょう。
しまむら事業の状況
しまむら事業は売上高の75%を占める主力事業です。
今期の売上高は4401億円(前年比+6.8%)、営業利益率は10.0%でした。
しまむではブランドの強化に取り組んでおり、自社開発商品(PB)、
サプライヤーとの共同開発商品(JB)、エコ素材を使用した商品(FIBER)の比率は
29.4%まで上昇しました。特にJBが好調で売上が大きく上昇しているとのことです。
また、インフルエンサーとの企画にも力を入れており、
このような動画広告も今年度は31本配信(前年比+22本)しています。
アベイル事業の状況
アベイル事業は売上高の9.3%を占める事業です。
今期の売上高は544億円(前年比+10.0%)、営業利益率は6.4%でした。
こちらもしまむら事業と同様にサプライヤーとの共同開発商品(JB)が好調です。
今期は「CHIP CLIP」「SUREVE」「Rag Out」の3ブランドを確立しました。
また、インテリア・生活雑貨の売り場拡大やキャラクター商品の拡充にも
力をいれています。
バースデイ事業の状況
バースデイ事業は売上高の11.9%を占める主力事業です。
今期の売上高は695億円(前年比+10.9%)、営業利益率は2.8%となり、
黒字化を達成しました。
こちらの事業もJBとキャラクター商品の拡充に力を入れるとともに、
入学卒業シーズンやクリスマスなど非日常をターゲットにした
商品を拡充しています。
また、SNS販促も順調でインスタグラムのフォロワーは
国内最多の58万人を誇っています。
その他国内事業(シャンブル、ディバロ、思夢楽)の状況
シャンブル、ディバロ、思夢楽(台湾事業)はこれまでの3事業と比べて
事業規模が小さく、決算資料の中でもあまり触れられていませんでした。
シャンブルの売上高は前年比+13%と全ての事業の中で最も大きな成長でしたが、
今後の予想
2023年2月期の会社予想業績は、売上高6066億円(今期+3.9%)、
営業利益521億円(今期+5.3%)となっています。
事業別では、しまむら事業は2%、アベイル、バースデイ、シャンブルの3事業は
4%以上の成長を予測しています。また、ディバロ事業はリスタートのため今期並み、
思夢楽(台湾)事業はロックダウンなどにより前期大幅減少しているため
時期は大きく売上が上昇する予測となっています。
以上となります。
【決算発表2022年2月期】ニトリホールディングス【生活雑貨】
ニトリの決算発表がありました。
緊急事態宣言などで思うように販売ができない中、
ニトリはどのような環境にあるのでしょうか?
※実際に投資をする際は、自己責任・自己判断でお願いします。
記事の内容
・会社概要
・ニトリ各事業の市場環境
・決算の内容
それではニトリの決算を見ていきましょう。
会社概要 ニトリってどんな会社?
ニトリホールディングスは家具や生活雑貨を販売するニトリを展開する会社です。
1967年に似鳥家具店として北海道で創業、1989年上場、
現在は東証プライムに上場する会社です。
家具や生活雑貨を販売するニトリ以外に
カーテンの縫製・販売を手掛けるホーム・デコ、
アパレルのNプラス、島忠の買収によるホームセンター業界への進出など
事業の拡大にも積極的で、現在は売上7000億円に達しています。
ニトリ各事業の市場環境
今年度は緊急事態宣言や蔓延防止措置によって外出が減少し、
店舗での販売は低調でした。
一方、ECの会員や売上は順調で、利益はしっかりと確保しています。
決算の内容
今期も売上は順調に推移していますが、
営業利益はほとんど前年並みという結果でした。
ニトリ事業の状況
ニトリ事業はニトリホールディングスの売り上げの8割を占める事業ですが、
売上高は前年と比較すると5%程度の減収となりました。
この理由としては、インテリア用品や家具の値下げ、
緊急事態宣言や蔓延防止措置による休業、天候不順や
オリンピック開催による外出控え、前年度の好調の反動などが挙げられています。
営業利益についてはほとんど変化なしでした。
売上高の減少はあるものの、物流やコールセンター業務の効率化により
コスト削減を実現し、昨年同等の利益を確保できたとのことです。
島忠事業の状況
今期から加わった島忠事業ですが、こちらは昨年までと同じくらいです。
島忠事業はニトリ事業と比較して事業規模が小さく、
全体の業績への寄与は小さなものとなっています。
買収時から指摘されている内容ですが、島忠事業はニトリ事業と比較すると
収益性はよくありません。
しかし、5店舗閉鎖して昨年同等の業績ですので、
今後、ニトリホームズ宮原店のようなニトリと島忠の融合店舗など、
よりシナジー効果が発揮される取り組みに期待です。
店舗の出店状況
国内および中国と台湾のニトリ、デコホームを中心に新規出店し、
合計で79店舗の純増でした。
前年度の出店予定と比較すると、
アパレルのNプラスの出店が進んでいないことと、
島忠の閉店が乖離の大きい点でした。
Nプラスは利益率の高いアパレル事業だけに
投資家からの期待も大きい分野かと思いますが、
なかなか難しいのでしょうか?
今後の動向が気になるところです。
今後の期待
2023年3月期の会社予想業績は、売上高9636億円(今期+19%)、
営業利益1506億円(今期+9%)となっており、
これまでの成長が維持されるという内容になっています。
ただし、販管費が23%と大きく増加することから
収益性は低下することとなります(ROE 14%→13%)。
以上になります。
企業の分析についてもっと知りたい場合は
こちらの記事もぜひご覧ください。
来週の決算予定(4/4~)
来週はイオングループ各社やコンビニ、ドラッグストアなど、生活に密着した小売り業の会社が多く決算を迎えます。
主な企業の決算発表日、目標株価、コンセンサス売上予想、コンセンサス当期利益予想は以下の通りです。
4/4
しまむら(8227) 12400円、5798億円、321億円
4/5
スギホールディングス(7649) 7313円、6266億円、192億円
薬王堂ホールディングス(7679) 3200円、1190億円、29億円
4/6
ウェザーニューズ(4825) 12000円、198億円、21億円
壱番屋(7630) 4600円、453億円、27億円
4/7
ハイデイ日高(7611) 1800円、270億円、18億円
久光製薬(4530) 3600円、1230億円、88億円
セブン&アイ・ホールディングス(3382) 6316円、8兆6288億円、2141億円
ウエルシアホールディングス(3141) 3633円、1兆227億円、271億円
オンワードホールディングス(8016) 270円、1700億円、-26億円
4/8
キユーピー(2809) 2500円、4147億円、166億円
安川電機(6506) 5511円、4827億円、418億円
ジンズホールディングス(3046) 7980円、716億円、42億円
イオン(8267) 2400円、8兆6600億円、260億円
ミニストップ(9946) 1300円、1845億円、92億円
【決算発表2022年Q3】クスリのアオキ【ドラッグストア】
クスリのアオキの決算発表がありました。
ガソリンなどの資源価格が上がる中、
ドラッグストア業界はどのような環境にあるのでしょうか?
※実際に投資をする際は、自己責任・自己判断でお願いします。
記事の内容
・会社概要
・ドラッグストア業界の市場環境
・決算の内容
それでは決算を通じてドラッグストア業界を見ていきましょう。
会社概要 クスリのアオキってどんな会社?
クスリのアオキは同名のドラッグストアを運営する会社です。
1985年に石川県で創業、2006年に東証二部上場、現在は東証プライム市場に上場されています。
売上は約3000億円でドラッグストア業界では10位ですが、北陸3県では最大手となっています。
ドラッグストア業界の市場環境
ドラッグストアは高収益の一般医薬品や化粧品で収益を確保し、
低価格の日用品や食品を置くことでコンビニやスーパーマーケットから
顧客を取り込み、高い成長を実現しています。
一方、業界の中では激しい勢力争いも続いており、
最近では大手のM&Aや経営統合も活発です。
実際、クスリのアオキも業界2位のツルハホールディングスから
出資を受けています。
決算の内容
今期も売上は順調に推移しています。
販売状況
最近は手洗いやマスクなどの衛生用品が好調な一方、
化粧品の売れ行き低下や医療機関の受診抑制により
高収益な商品が売れづらくなっています。
しかし、原価率は70%+αあたりを推移しており、
急激な利益率の低下は起こっていないように見えます。
事業の拡大
得意とする北陸を中心に74店舗を新たに出店し、
ドミナント化を進めています。
収益率の向上
調剤薬局を新たに100店舗に併設することにより、
高収益な医薬品の販売に力を入れています。
また、こちらでクスリのアオキのチラシを見ることができますが、
店舗によっては片面全てが生鮮食料品になっています。
生鮮食料品の品ぞろえを強化することで、
顧客の利便性向上を目指しているのがよくわかりますね。
以上になります。
企業の分析についてもっと知りたい場合は
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