【IT業界研究】高配当の罠【通信キャリアの比較】
投資に興味があるけれど、どの会社の株を買えばいいのかわからず、なんとなく買った株で損失を出してしまう人も多いかと思います。そこで、一見よさそうだけど実はデメリットもある株を、IT業界のなかでも最も身近な携帯3社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)の比較でみていきます。
自分も株式投資を始めたときはよくわからず大企業や身近な企業の株を買っていました。運よく成長してくれたおかげで収益を得ることはできましたが、いろいろな企業を調べるうちに、みんなが知っている有名企業でも業績がボロボロなことがあるとわかりました。今回紹介する内容は、前回紹介したことと合わせて成長企業を探す方法になります。
※実際に投資する際は、自己責任・自己判断でお願いします。
高配当株のメリットとデメリット
メリット:業績がよく、安定している
みなさんはどういう企業の株を買いたいですか?業績がいい、安定している、大企業、有名、将来性がある、などなど。多くの利益を稼いでいなければ高い配当を出すことはできません。もちろん東京電力のように急激に業績が悪化する例外もありますが、高い配当を出している企業は業績がよくて安定している良い企業です。あなたがお金をたくさん持っていて、銀行の利子より少し多いお金がもらえれば十分というのであれば、高配当の株を買う事はそれほど悪い選択ではないでしょう。
デメリット:成長性がない
では何がいけないのでしょうか?それは、成長性がないことなんです。
企業は利益が出ると一部を株主に配当金として分配し、残りを将来のために再投資します。再投資すると次の年はより多くの利益を出せるようになり、今までよりも多くの配当金を払うことができますし、このような企業は株価も上がっていきます。
それでは、企業が全ての利益を配当金として株主に払ったらどうなるでしょうか?その時だけを見れば配当をたくさん出してくれるいい企業ですが、再投資することができなくなってしまいます。そうすると、利益はもうそれ以上増えません。すると次の年も同じ額の配当金しか払えませんし、株価も上がりません。これが高配当の罠の正体です。もしあなたが、これから資産を運用して増やしていきたいのであれば、配当の高さだけでなく成長性があるかも考えましょう。
配当と成長性(携帯3社の比較)
ここまで理解できましたか?携帯3社を比べると配当と成長性についてよくわかるので、いっしょに見ていきましょう。
1 配当性向のチェック
企業が純利益のどれくらいの割合を配当として支払っているかを「配当性向」といいます。有価証券報告書に5年分の配当性向が載っていますのでみなさんも確認してみてください。
NTTドコモ:55% KDDI:40% ソフトバンク:100%
年によってばらつきはありますが、だいたいこうなります。配当が多い順に並べるとソフトバンク→NTTドコモ→KDDIとなります。これを見るとソフトバンクは利益をすべて配当してくれるすごくいい企業ですね。
2 成長性のチェック
3社の成長性をチェックするために過去の純利益を見てみましょう。
成長性はKDDIがダントツで年平均400億円純利益が増加しています。NTTドコモとソフトバンクは同じくらいで年平均100億ぐらいです。このように配当性向が最も低かったKDDIが一番成長しているという結果になりました。
3 結局一番儲かるのは?
過去10年(ソフトバンクは2017から)を振り返ると、NTTドコモの株価は1500円→3000円、KDDIは1000円→3000円、ソフトバンクはずっと1400円前後です(※)。このように長期的に見ると利益を出している企業の株価は上がっていきます。そして、この3社の中で1株あたりの配当額が高いのって、実は利益を配当に回さずに再投資して拡大してきたKDDIなんです。
※菅首相の値下げ発言やドコモの完全子会社化の影響は除いています。
まとめ
あなたが気になっている企業や株を持っている企業はどうですか?配当が高いことは優良企業の証ですので決して悪いことではありません。でも、本当に利益を出している企業でしょうか?再投資をせずに無理に配当を出しているだけではないでしょうか?ぜひこれを機会にチェックしてみてください。